2011年5月29日日曜日

本当にあったコワイExcel

我々SEという職種は、システム開発の現場で実に様々なドキュメントを作らされる。

Wordだったり、Excelだったり、西暦2000年代という時代において富士通のOASYSで設計書を書かされたこともある。

そんな中、もっとも奇っ怪なのは、やはりExcelで記述されたドキュメントであろう。

本来、表計算ソフトであるはずのExcelが、現場でどのような使われ方をされているのか。筆者の経験した、奇妙なExcelドキュメントのいくつかをご紹介したいと思う。

■Excel方眼紙

いわずとしれた、SI業界の伝統的手法。Excel方眼紙である。

いまやマイクロソフトの公式Tipsにも登場し、Mac版Excelでは標準のテンプレートとしても採用されているトンデモExcel界の巨人。筆者も毎日現場でこれと格闘している。

Excel方眼紙はその応用力の広さが半端ではない。

例示した図のように、クラス図はもちろんのこと、ER図、DFD、ユースケース図など、あらゆる図表を記述することができる。
ここに、「セル結合」というテクニックが加わることで、カオスさはさらに増幅され、エントロピーの増大はもはや誰にも止められなくなる。

筆者は以前、Excel方眼紙でシーケンス図を書かされる、という恐怖のドキュメント規約を目の当たりにし、設計工程の工数見積もりに苦心した記憶がある。
あの案件は、失注してくれて本当に良かったと心の底から思っている。

■Excel原稿用紙

なぜ、Wordの原稿用紙テンプレートを使わないのか?

これを編みだした人物は、おそらくデスマーチに追われ、まっとうな精神状態ではなかったのではなかろうか。

1セルにつき1文字、という常軌を逸したドキュメント。もはやコンピュータを使う意味すら放棄している。

このような記述は現実に存在するはずがない、と読者もお思いだろう。だが、このような例は現実の開発現場で存在する。

具体的な例としては下記のようなパターン。


そう! ホスト帳票の設計書なのだ!! 「プルーフファイル」などと呼ばれることもある。

COBOLerたちは上記の設計書を見ながら、

05  PRINT-RECORD  PIC X(42).
   10 KAISYA-CODE   PIC X(5).
   10 FILLER PIC X(2) .
   10 KAISYA_NAME  PIC X(11).

などとPICTURE句を記述するのである。

だからといってなんで1セル=1文字である必要があるのか……。
設計書にPICTURE句の定義をそのまま書けば良いではないか……。

この問いを考え始めると、宇宙の深淵を考えるのと同じくらい、眠れなくなるので、考えぬほうがよかろう。

■Excel画用紙

先日Twitterでつぶやき、歴代記録に迫る勢いのRT数を記録した問題作。

それがExcel画用紙である。


1ページ = 1セルという驚異の構成。セルにカーソルをあてると、Excel上部にある式を記述するフィールドがとんでもない事になるという、意味不明さである。

このフォーマットに関して、筆者の言いたいことは一言だけである。

……バカなんじゃないだろうか。

■Excelあqwせdrftgyふじこl


このExcelだけは、なんと命名すればいいのかもわからない。

もはや人知が及ぶ領域を超越している。

他の惑星からきた超文明を保有する宇宙人が書き残した、オーパーツなのではなかろうか。

このシートの謎が解き明かされるとき、人類は滅んでしまうのではなかろうか。

それが、これである!


セルの幅が画面に収まっていない!?

スクロールバーを横にずらすと、その隣のセルが画面の左端に位置するので、このセルの右端は永遠に見ることができないのである。

いったい、先人はどのような理由でこのようなものを残したのか?

なにかの暗号であろうか?

どなたか、このセルに名前をつけて謎を解いてはくれまいか。


世の中には、人間の認識では把握しきれない、様々な謎があるものである。

願わくば、あなたのドキュメント人生が、このような奇っ怪なものに邪魔されることなく、豊かなものであらんことを……。

■追記
最後のExcel。Twitterで「Excel京都銀行」と命名していただきました。
元ネタはこちら→http://www.youtube.com/watch?v=B4-gFE-liXE&NR=1
@backpaper0 さん、ありがとうございます!!

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